やまんば薪ストーブクラブの設立


現在の里山は数十年間きられていないため、大きくなった大木を伐らなければ、日光の差す良好な状態の里山の姿に戻すことはできません。特に数年前から、県内でもカシノナガキクイムシの被害が蔓延し、大木の広葉樹がどんどん枯れています。この昆虫の特性から、太く大きな木ほど被害に会いやすいのです。害虫被害の蔓延を食い止めながら里山を再生するために大木の伐採作業が必要でしたが、危険を伴うため、活動の中心であったシニア層や子ども達では限界がありました。



一方、集落では薪を使う生活は完全になくなっています。しかし暮らしとの関係をより強めなければ、里山の再生は進まないと考え、2008年から、自宅に薪ストーブを持つ人を積極的に活動に呼び込むことにしたのです。







森林は個人の持ち物であり、勝手に伐ることはできません。やまんばの会が地元と協議して伐る場所を決めます。枯れた大木などをチームで伐採し、作業日数に応じて薪を自宅に持ち帰るルールを作りました。
薪ストーブクラブによる継続的な大木の伐採と薪の利用によって、暮らしに根ざした活動がまた一つ広がりました。

これまでの成果


枯れた大木を伐るのは大変危険を伴いますが、薪ストーブクラブの若い力によってこれまでの3年間で、太さ20cm以上の大きな木を85本伐採し、56,000m2の森林を手入れしました。






カシナガの広葉樹大量枯死による里山荒廃を食い止め高齢の樹木を若返らせるなど、健全な状態の里山を再生する機動的な役割を担っています。







やまんば薪ストーブクラブは、単にエネルギーを得るだけでなく、森の循環利用と再生の仕組みや安全な伐採技術・知識について互いに学び合う仲間なのです。

これからの展開


2011年の福島県での原発事故以降、国民のエネルギーに対する考え方が変わろうとしています。これまで、木質バイオマスエネルギーは、原料を集めるプロセスにコストがかかるため、製材くずなど廃棄物系の限られた分野でしか取り扱われていませんでした。2012年の夏には、再生可能エネルギーの全量買取制度が動き出します。そこで決定された買取電力の価格が森林資源を取り巻く状況を大きく左右すると考えられ、その動向に着目しています。




これまでも、やまんばの会の活動拠点で使う電気は、太陽光、風力、エンジン式発電機を併用してきました。今後は、省エネに努める以上にできるだけ地下資源を使わないことで地球温暖化を食い止めるライフスタイルを応援し、木質バイオマスをメーンに、エネルギーを地域で自給するという、地域分散型エネルギー供給の取り組みとして広げていきたいと考えています。




特に薪ストーブや木質系ボイラーは大きな設備をつくらなくても、自分たちの力でエネルギーを得ることができるからです。このような取り組みを普及させるためには、技術的には地形が急な斜面でも効率よく丸太を集めるノウハウが必要であり、本活動で得た技術を県内外のグループにも広めたいと考えています。







薪ストーブBlog

薪ストーブクラブの活動をご紹介

日々の活動をブログでご紹介。
特に12月から3月までが木を伐る絶好のシーズンで、薪ストーブクラブの活動は冬がメーンなのです。

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