やまんばの里山だより

vol.10暗い森の小さな命を育てる

写真:ソヨゴの落葉

今が落葉の季節?

カシノキやソヨゴなどの常緑広葉樹は冬でも緑のままで、葉を落としませんが、1年中ずっと同じ葉がついているのではないのです。落葉といえば秋の季節というイメージですが、常緑広葉樹にとっては、初夏が落葉の季節。目立たないですが、落ちる前には、ちゃんと紅葉していますね。葉が落ちる準備として、枝にくっついているところに膜のようなもの(離層といいます)ができると葉の色が変化していきます。やがて、年老いた葉はその下から萌えて出てきた新葉に場所を明け渡して、落ちていきます。

写真:タカノツメ

タカノツメに見えるかな?

やまんばの森によく見かける植物で、「タカノツメ」という明るい緑色の葉をした木があります。初夏の頃は際だってきれいな色をしています。 ではなぜ、この木がタカノツメといわれるのか。葉が3枚で鷹が爪を広げた形に見えるという説があります。

写真:下から逆さまに見たタカノツメ

あるいは、樹皮が鷹の指から爪にかけての様子に似ているからだという説もあります。たしかに、葉の付いているあたりを逆さまにしてみると、そんなふうに見えてきましたね。ちなみに、晩秋になると、黄色く色づいた葉からは、メープルシロップのような甘いにおいがしますよ。

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